『Nikon D7500』レビュー:あなたの選択肢は後継機かそれともミラーレス一眼?

近年、デジタルカメラの世界では “ミラーレス化” の波が加速しています。

多くの新型がミラーレスにシフトし、レンズ交換式カメラ市場ではこちらが主流となってきました。

そんな中で、あえて “今も売れている” 一眼レフ機である「Nikon D7500」を取り上げる理由があります。

 

それは一眼レフならではの魅力を、ミラーレスとは違った視点で再確認できるからです。

今回は、D7500のミラーレス機とは異なる特徴を整理しつつ、実際に使ってみて感じる良さをレビュー形式でお届けしましょう。




 

D7500のミラーレス一眼とは違う特徴(メリット)

 

 

D7500は、ペンタ部と呼ばれる上部にペンタミラーとプリズムを備えていて、OVFと呼ばれる光学ファインダーを搭載しています。

そのため非常に明るく見やすいのが特徴です。

 

参照:ニーゴ・リユース

 

OVFながら視野率は100%を達成しており、目で見えるものをフレーム一杯に撮影することが可能となっています。

正確なフレーミングができるんですね。

普及機では80%くらいが一般ですから、それだと20%ほどが隠れて確認できないこととなるので、本機は非常に優れたファインダーと言えるんです。

 

 

またミラーがあるゆえ、カシャと響く小気味良い音がすることで、リズム感のある撮影が楽しめます。

ミラーレスは基本的にこの音はしないので、意図的に作って鳴らす機能を付けているんですよ。

 

 

本機のこの光学ファインダーは特に構造的に優れていて、シャッターを切った時のタイムラグがほぼなく、シャッターチャンスを逃さないのも優秀。

ミラーレスは、EVFと呼ぶ電子ファインダーを搭載していることで、ややタイムラグがあり、スポーツシーンの撮影には向かないと言われています。

で、そんなスポーツフォトにも活躍するのがD7500と言う訳。

 

 

その上、ミラーレスは構造的に電力を多用する部分が多く、どうしてもバッテリーの消耗も早くなりがちですが、その点本機はそれが少ないので省エネです。

なので電池の持ちが良く、バッテリー1本で約950コマ撮れるのは〇

さらにそもそも一眼レフは歴史が古く、堅牢性・耐久性が高いのですが、本機もそれに漏れず長きに渡り愛用できるのも良いですね。

 

 

D7500のミラーレス一眼とは違う特徴(デメリット)

 

 

ミラーレス一眼と比べD7500が劣る点を言えば、シャッターを押した時のミラーショックを感じることでしょう。

レンズを通して入った光をセンサーに感光させるには、ミラーアップして、その光をファインダーからセンサーに切り替えて送らないといけません。

 

その時のショックが手にも伝わってくるんですね。

これが欠点となる訳ですが、ただ良い解釈をすれば、ミラーショックを感じることで “撮ってる” 雰囲気を盛り上げる要素ともなり、気分を高揚させるとも言えます。

 

 

また、ミラーと一対となっているペンタプリズムはガラス製で、これがボディの大型化と重量増を招きます。

ミラーのないミラーレスは、一眼レフのように必ずしもペンタ部は必要とせずファインダーを左肩に内蔵させることも可能だし、背面のモニターを利用すればファインダーそのものがなくても構いません。

つまりボディを小さく軽量にできるのです。

 

これが不可能なD7500は、それなりに大きく重い。

ですが、これも重いことと顔でボディを支えるスタイルで、手振れが起きにくいメリットが生じるとも言えなくはないですね。

 

あと構造上一眼レフの本機は、ファインダー内のフォーカスエリアに限りがあります。

フォーカスポイントも51点しかありません。

 

Nikon Z30

 

その点、ミラーレスのZ30ではエントリーモデルでありながらもっと広く、フォーカスポイントも209点と多い。
撮影フレームの、より広い範囲にフォーカスを当てることができるんです。

これも本機が負けている要素で、フォーカスロックしてフレーミングし直すことが多くなってしまうのです。

 

決定的に違うのは、ミラーレスのEVFはいわゆるビデオ画像となっていること。

シャッターを押して撮影する前に、露出やホワイトバランスの変化をファインダーで確認することができます。

 

光学ファインダーであるD7500はこれができないので、結果を撮影後に確認するしかありません。

ですが、ファインダーの見え方そのものはこちらの方が明るく自然な感じで、私自身はこの光学ファインダーが好きなんですよ。

以上、ざっとそんなところが、本機のミラーレスに対する弱みと言えるでしょう。

 

 

D7500の “カメラ” としての魅力とは?

 

 

2017年6月に発売されたロングセラーのD7500ですが、ここで改めて仕様を確認してみましょう。

APS-Cサイズ大型CMOSセンサー採用で画素数は2088万画素と、中級カメラマンなら十分高画質を堪能できる性能を保有しています。

 

 

連続撮影速度は約5コマ/秒と特に早い部類ではないものの、拡張機能を使えば約11コマまでに向上でき、また最高シャッタースピードの最高1/8000秒も生かすことで、スポーツシーンでも難なくこなせるのはさすが。

既述のようにフォーカスポイントは51点と、最新のミラーレスエントリー機と比べても少ないのは惜しい点です。

ですが、明るい視野率100%ファインダーは、フォーカスポイントコントロールがしやすく機敏に動くので、そのデメリットをあまり感じさせません。

 

 

ISO感度は標準で100~51200まであり、感度を上げても撮ったデータにノイズが少ないのも良い点。

暗い場所で感度を上げれば、早いシャッタースピードを設定でき、舞台撮影でも被写体ブレの少ない作品が撮れるのは心強いですね。

 

あと、ボディに関することですが、バッテリー/SDカードカードを含めた重量が720gと、小型ミラーレスと比較すれば結構重い。

大きさもそれほどコンパクトと言えないので、この辺りはデメリットが目立ちそうなのですが、深いグリップのおかげもあって、想像に反してレンズを装着した上での安定性が良く、握った時の感触が両手にしっくり来ます。

しかもボディは防塵/防滴仕様となっていて、小雨程度なら躊躇なく撮影に専念できるのもありがたいです。

 

 

それから、過去に集めたFマウントレンズの資産があれば、それを生かせるのも本機のメリット。

AFカップリング/AF接点をを内蔵しているので、モーターを内蔵していない古いAFレンズでもAF可能だし、昔のMFレンズだってニコンマウントなら使用が可能ですよ。

バッグからサッと取り出して、手軽にパッと撮るのはちょっと苦手でも、じっくりと被写体を捉えることができる状況なら、ミラーレスより楽しい撮影になること間違いないでしょう。

撮る行為そのものをじっくり堪能できることが、本機の最も大きな魅力と言えます。

 

 

D7500のユーザーレビュー

 

ではD7500を実際に愛用している方は、本機にどんな感想を持っているのでしょうか?

いくつかレビューを集めましたので、ご覧いただきましょう。

 

★「画質は最新のAPSCミラーレスと比較しても遜色ない。好みや被写体によっては、キッチリ写るZレンズより良い写真が撮れるかもしれない。高感度耐性も十分だと思う。携帯性はミラーレス機と比較すれば流石に分が悪いが、一眼レフで防塵防滴ありの機能性を考えたら、かなり頑張っている。樹脂製ボディとAPSCレンズの組み合わせは、コンパクト且つ軽量なので、総合的に考えるとまだまだ勝負できると思う。ホールド感、これは抜群にいい。無理に小型軽量にふってないので握りやすく、しっかり構えて撮影に集中できる。おかげで重量も軽く感じる。特に、大口径や望遠レンズ使用の際は小型ミラーレスより使いやすい。」

 

★「これまでコンデジと比べピントの精度が段違いに良い。走り回っている子供を連射して撮ってもかなりの精度でピント合ってるのに感心。レンズが大きい(明るい)のでシャッタースピードがあげられる。これまでコンデジで屋外はコンデジでも奇麗に撮れていたが、屋内ではシャッタースピード上げられずブレブレの写真ばかり撮ってきて、苦労していたのが嘘のように奇麗に撮れてうれしい。高感度で(ISO6400くらいまで)上げても奇麗に撮れている。連射が凄い。コンデジよりバッファの容量が多いのかかなりの時間連射が効くし機械式シャッターのおかげか反応がめちゃイイ。一眼初心者で使いこなせていない現状でもコンデジに比べはるかにメリットのほうが多く、子供の為に買ったのは間違いのない選択だった。」

 

★「AFについてだがが、シングルAFポイントの設定で鳥を撮ると、鳥にフォーカスポイントを持っていっても、近くに枝があると枝にピントがいってしまうことが多いのが不満点。以前使っていたD7100でも同じ現象があったが、この点は変わっていない。
がっかりしたのはショルダーストラップの生地がぺらぺらの薄いものになってしまったこと。まるで入門機のようだ。そのストラップをボディに取り付けるのも三角環が省略されて、ボディに直接付けるタイプに変わってしまったこともとても残念。ストラップがねじれてしまい、まるで安物のコンデジのようで情けない。カメラの性能的には総じて高く評価できると思うが、この辺りはぜひ改善してもらいたい。

 

★「D7500は、必要な機能の呼び出しもダイレクトで操作出来るボタンが多いので、シャッターチャンスを逃しにくい。炭素繊維樹脂(セリーボ)をボディに使っているが、これが非常に優れもの。非常に剛性感があり、きしみや歪みなど全く無く安心感がある。それでいて軽く、下手にマグネシウムなどを使ったボディよりも剛性感を感じる。
サイズや機能が使い易く画質が素晴らしいので、これを買っておけば間違いない機種だと思う。」

参照:価格.com Amazon

 

 

まとめ

 

 

D7500は、最新のミラーレス一眼と比べてもAPS-Cセンサー搭載モデルなら、機能/性能で全くそん色のない中級一眼レフだと言えます。

ただしボディサイズ/重量の面から比較すると、やはり不利なことは否めません。

コンパクトカメラのように、サッと取り出して撮る機動性を重視するなら、同じニコンでもミラーレスAPS-C一眼を選んだ方が後悔はないでしょう。

 

でも、以前からあるDXフォーマットのレンズはZマウントのレンズより種類が多く、特に遠くにある被写体をしっかり狙うなら、望遠のラインナップの多い本機を使った方が有利なのは確か。

そこそこ大きく重いボディは、望遠系レンズとのバランスが良いですしね。

 

ミラーレスのEVFは、ビデオ画像なので現実感が湧きにくいですが、その点、本機のOVFはリアル感がバツグンなので、こちらのファイダーの方が見やすいとの意見もあります。

私自身も同じ意見で、ミラーレスのファインダーはどうしても馴染めず、ついミラーレスは、モニターを見ながらの撮影になってしまいます。

野鳥のように遠くにある被写体をキッチリ狙うにも、やはり一眼レフのファインダーの方が使いやすいですね。

 

また、本機はキレイな動画も撮れますが、ビデオカメラと同じ構造のミラーレスと違い、ミラーアップが必要なことで操作がワンテンポ遅れ、撮影がやり難いのはデメリット。

今までスマホやコンパクトを使っていて、これからレンズ交換式カメラに挑戦したいユーザーなら、動画の撮りやすさも加味してミラーレスの方を選ぶべきです。

ですが、動画はほとんど撮るつもりがなく、超広角や望遠系のレンズも使いたいと考えるユーザーなら、一眼レフの本機を選んで間違いはないでしょう。

 

また発売されてからの年月が長いことで、本機の価格はこなれてかなり安くなっています。

当然品質も安定していて、信頼性も高いことも選ぶ要素になりますね。

今後は、恐らくD7500の後継機が出る可能性は低いと考えられるので、製造が続く今のうちに、1台確保しておくのも良いのではないでしょうか。

 

なお、あなたが初めての一眼レフとして本機を選ぶユーザーなら、便利な18~140㎜の高倍率レンズキットを購入することをおすすめしたいと思います。

Z50ⅡZ30で同じレンズを購入するより、はるかに安く手に入りますよ。

 

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