アクションカメラの老舗と言えば、多くの人がGoProを思い浮かべると思います。
タフで画質が良いのがウリのブランドですが、近年GoProカメラと見間違えるほど、ソックリの中華製アクションカメラが横行しているのをあなたもご存知でしょう。
本体を防水ハウジングに装てんして、水中で使えるのも同じだし、数あるGoProのアクセサリーも使用できます。
しかも価格が安く、GoProの半額以下で買えてしまうので、本家の売り上げは下降線をたどるばかりでした。
しかしHERO5以降、デザイン・機能/性能・使い勝手が大きく変化し、他社の追従を受けない製品をGoProは送り出しています。
そんなGoProに全く新しいモデル、「HERO9 BLACK」が誕生しました。
旧HERO8を大きく凌ぐ、魅力あるアクションカメラとなっての登場です。
今回は、このHERO9の特徴とHERO8との違いに付いて、アクションカメラ初心者の人にも分かりやすく解説して行きましょう。
GoPro HERO9 BLACKの大きな特徴
近頃は純粋にアクション動画の撮影を楽しむ人だけでなく、Vlogger(ブイロガー)と呼ばれる人もアクションカメラを使うようになりました。
YouTuber(ユーチューバー)と比べて、野外での風景を多く撮る傾向にあるのがVloggerです。
なので、より過酷な条件下で、安定した動画を撮れるアクションカメラを求めます。
そんな彼らが求める機能を充実させたのが、HERO9なんですね。
大きな特徴を順番に述べると、まず写真で見ればお分かりのように、前面に1.4インチのカラー液晶モニターが付きました。
これは自撮りをする時に、自分をフレーミングするのに便利です。
自分で自分を撮る時はレフ版など使いませんから、太陽の方向によっては、顔が暗く写ってしまう場合があります。
これを簡単にモニターできることで、最も顔が明るく写る方向を見つけることが可能。
また、顔がフレームアウトして切れていないか、確認するにも便利ですよね。
スマホでモニターを見ながら自撮りすると、モニターのある側のレンズで撮影することになります。
こちら側のレンズは、裏側のレンズと比べ性能が劣るので、画質が悪く記録されてしまいますね。
HERO9のモニターは小さいですが撮影レンズは同じなので、自撮りしても画質が落ちるなんてことはありません。
これは、いくら最近のスマホの性能が良くなったとは言っても、マネできる芸当ではないでしょう。
それから凄いのは、GoPro史上最高の進化を遂げたと言う、手振れ補正機能「HyperSmooth3.0」。
単純に手振れ補正を強力にしただけでなく、カメラが傾いても水平を保つ機能が付いたことです。
こんな感じです。↓
動画を撮影する場合、手振れ補正が強力でもカメラが傾くことで、水平線も一緒に傾いて揺れてしまいます。
画(え)としては迫力が出ますが、この画面が続くと見ている人は、車に酔った気分になりますよね。
これを防いでくれることで、迫力あるシーンでありながら、落ち着いて見ることができるのです。
最近人気のアクセサリーで、ステディカムのような働きをする、ジンバルに近い機能と思って良いでしょう。
それからこれも面白い機能です。
「HindSight」と言うのですが、思わずシャッターを押した瞬間の最大30秒前から、映像を記録してくれる優れもの。
前もってカメラを固定しておく必要がありますが、「これだ!」と思ってシャッターを切る前の数秒間から記録するので、逃したくない瞬間が切れることなく残せますよ。
この機能、すでにドライブレコーダーで搭載されているものがあります。
例えば駐車中に車体に衝撃があると、その前後数十秒間録画されるのですが、まさにこれを応用したと言う訳ですね。
さらに、「TimeWarp3.0」と呼ぶ機能にも注目です。
今までタイムラプス(コマ撮り映像)を取る場合は、三脚を使うなどカメラを固定しなければなりませんでした。
それをこの機能を進化させ、乗り物に乗っている時や、歩いている時でも可能にしたのです。
このような映像が作れますよ。↓
移動しながらのタイムラプスは、動画の演出の幅を飛躍的に広げることでしょう。
画質だって向上しました。
本機HERO9は、4Kを凌ぐ5Kで撮影ができます。
この5Kのメリットは、単に4kより高画質に撮影できる、と言うことではありません。
本機にはズーム機能がありますが、これはデジタルカメラのような光学ズームとは違い、デジタルズームとなっています。
5Kで撮影することで、ズーム時の映像の伸ばしボケを少なくして、高画質を保つことができるのです。
ボディのコンパクト性を優先するために、アクションカメラは光学ズームを搭載することが困難です。
5Kと言う高精細な映像が作成できることで、ズーム時の画質の低下をできるだけ抑えることに成功したのですね。
では次の項で、HERO9の進化ぶりをより明らかにするために、改めて旧HERO8と比較してその違いを述べてみたいと思います。
GoPro HERO9 BLACKとHERO8 BLACKとの違い
出典:フォトスク
今度は、HERO9がどれほど進化したアクションカメラになったのか、旧HERO8と比較してその違いを検証してみましょう。
まずは見た目から。
HERO9の正面には、新しく1.4インチのカラー液晶が搭載されました。
裏面と同じように、撮影中の様子を表示できる、デュアルディスプレイ仕様になったのです。
これで自撮りする自分の顔を、バッチリ確認することができますね。
HERO8の表にも液晶ディスプレイはありましたが、モノクロで撮影時間などステータスを表示するだけで、撮影モニターとしては機能しませんでした。
そして本体のサイズが、HERO9ではひと回り大きくなっています。
HERO8と比べ、幅が4.7mm・高さが6.4mm・厚さが5.2mmのサイズアップです。
これは、カラー液晶の追加などで電力量が増加したため、バッテリーサイズを大きくしたことの措置だろうと思われます。
そのためHERO9と8では、バッテリーを共有することはできません。
ちなみに撮影持続時間も30%アップ、GoProカメラのファンには嬉しい改良ですね。
また横から見ると分かりますが、HERO9はレンズ部分に切れ目が入っています。
これはレンズ(正確にはレンズカバー)を取り外して、オプションの「Maxレンズモジュラー」と呼ばれる広角レンズと交換できるようになったのです。
レンズを交換できると言っても正確には、超広角のレンズコンバーターと交換するのと同じです。
こうすることで、155°の広い視野角を得られるようになるんです。
さらにそれだけでなく、カメラが揺れて例えば360°回転しても水平を保ち続ける、「ホライゾンロック」機能が使えますよ。
この機能はすでに販売されている、GoProMAXに付いているものと同様のものです。
ただしMaxモジュラーレンズと交換すると、水深10mまでOKな防水機能が5mまで落ちるので、水中で使いたいユーザーは注意が必要です。
撮影性能に付いては、写真撮影時の画素数がHERO8の1200万画素から、HERO9は2300万画素へ増加しています。
映像では、HERO8は4K60fpsが最高画質でしたが、HERO9では4Kを超え5K30fpsの超高画質で撮影を楽しめます。
手振れ補正機能は「HyperSmooth2.0」から「HyperSmooth3.0」へ進化。
より手振れ補正機能が強力になっています。
カメラが傾いても水平線を維持する機構は、HERO8ではGoProアプリの利用が必要でした。
それを、HERO9ではこの機構をカメラに内蔵させ、アプリを使用しなくても使えるようになりました。
そして非常に便利なのが「HindSigt機能」。
シャッターを押すと、押した瞬間の最大30秒前の時点にさかのぼって、映像を記録できるのです。
これがHERO9で、初めて搭載されたのです。
以上、ざっとHERO9とHERO8の違いを述べましたが、いかがでしょうか?
HERO7からHERO8へはマイナーチェンジ的な進化でしたが、今回のHERO9への進化はまさにフルチェンジと言い切れる、魅力たっぷりの変身だと思います。
GoPro9の不満に思う点
HERO9は、これまでのHEROシリーズとはガラッと変わった、新しい機能と性能を持って登場したカメラだと思います。
とは言え、やはりそれなりに、不満を感じてしまうところもありますね。
これから、初めてGoProを購入する人は分からないかも知れませんが、すでに何台も所有している人だと、「う~ん」と感じてしまう点を述べてみましょう。
まず1つ目は、ボディが新しくなったことで、関連するオプションをいくつも刷新しないといけないこと。
形も大きさも変わったことで、HERO8の防水ハウジングを使うこともできません。
同様にバッテリー容量も大きくなったので(1220mAhから1720mAh)、形が変わり共用もできません
オプションを使いHERO9を十分に生かそうとすると、かなりのものを買い直し、または買い足ししないといけないのです。
出費がまた増えそうですね。
2つ目はそれに関連して、本体ボディも重くなっています。
HERO8は110gほどだったものが、HERO9では150gほどと、40gくらい増加しています。
手で持つには大して気にはなりませんが、ヘルメットに装着して使おうとすると、結構負担に感じてしまうのではないでしょうか。
アクションカメラに取って、重量増と言うのは大きな問題点になるのです。
3つ目は、人によっては問題ではないかも知れませんが、若干ですが、最短撮影距離が延びたことです。
HERO8の20㎝から、HERO9では30㎝になったのです。
屋外で撮影することが多い人なら大丈夫でも、屋内で商品なんかを撮る機会が多い人だと、レンズを近づけなくて不便を感じることもあるでしょう。
4つ目は、オプションのMaxレンズモジュラーを使う時、交換場所が湿気の多いところだとレンズが曇り、撮影した映像にモヤが現れる可能性があること。
これは、あるYouTuberの方が指摘されていたことで、天気の悪い日に野外でレンズを交換すると、内部に湿気が溜まりそれが映像に写ってしまうんだそうです。
レンズ交換は、湿気のない環境の下で行うのが基本のようです。
他にも実際に使ってみないと見えてこない、不満点があるかも知れませんね。
私もまだ実機を手にしていないので、今後は実際に購入したユーザーの皆さんの声も集め、改めてレビューしてみたいと思います。
今言えるのは、GoPro HERO9 BLACKは価格は決して安くはないが、こだわりのユーザーの要望に、かなり応えたアクションカムであるのに間違いはないことでしょう。
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