アクションカメラやデジタルカメラの画質の高さを計る目安として、イメージセンサーのサイズや、画素数の数量があります。
センサーサイズが大きいほど、また画素数の数が多いほど、画質は向上すると言われていますよね?
それは確かに間違いではありませんが、しかし各カメラのスペックを見ると、必ずしもそれに従わずに設計されているんです。
これは一体どう言うことなのか、センサーサイズと画素数の量ではどちらが画質に影響するのか、今回分かりやすく述べてみたいと思います。
特に、アクションカメラはどれくらいのセンサーサイズあれば足りるのか、どれほど画素数があれば高画質な動画ができるのか考えてみましょう。
アクションカメラ・デジタルカメラのセンサーサイズってどれくらい?
まずは、デジタルカメラのイメージセンサーから述べてみましょう。
そもそもイメージセンサーとは何なのか、あなたはご存知ですか?
恐らくかつてのフィルム式カメラの、フィルムに代わるものと思っているでしょうが、それで正解です。
フィルムは化学物質なので、レンズを通して受けた光を、そのままフィルムにイメージします。
イメージセンサーは、同じようにレンズを通して受けた光を、電気信号に変換するものです。
センサーはそれ自身で受けた光を、ダイレクトにイメージすることはありません。
カメラ本体がデジタル構成されており、電気信号に変換したものを内蔵のエンジンで画像処理、そしてイメージ化させるのです。
イメージセンサーを別のものに例えると、それはソーラーパネルと思えば理解しやすいかも知れません。
ソーラーパネルも、受光したものを電気に変換していますからね。
ただカメラと違って、イメージ化させるために使うものではありませんが・・・。
当たり前の話として、ソーラーパネルは面積が大きいほど受光量も大きく、電気に変換できる量も多いです。
同じように、イメージセンサーもサイズが大きいほど受光量も多いので、後にイメージ化される情報量も多く高画質につながります。
そんな訳で、小さなコンパクトカメラとは違い、ミラーレスカメラや一眼レフカメラカメラはセンサーが大きくなっています。
普及クラスのモデルは、APS-Cサイズが多いですね。
APS-Cとは “Advansed Photo System typeC” の略で、かつてあった35㎜フィルムより、4割ほど面積が小さいフィルムの規格。
これをそのまま、現在のデジタルカメラの規格に当てはめているのです。
高級タイプのモデルは、フルサイズセンサーを備えたものが多く、かつての35㎜フィルムの受光面積と同じになっています。
APS-Cセンサーの画質は35㎜フィルムと同等で、フルサイズセンサーはそれをしのぐ高画質であると言えます。
一方、コンパクトカメラを見てみましょう。
最近はスマホカメラの人気に押されて、かなり機種も減ってしまいましたが、コンパクトは1/2.3インチのものが一般的です。
この1/2.3インチとフルサイズを比較すると、フルサイズの方が36倍ほど面積が大きいことになります。
「えぇ、これでコンパクトカメラはまともな写真が撮れるの?」
そんな疑問が起こるかも知れませんが、後述するサポーターの助けを借りれば大丈夫。
また、人気は移り変わったものの、スマホも多くが1/2.3インチを使っています。
なぜこんなに小さなセンサーを使うのかと言えば、できるだけボディをコンパクトにするために必要なことなんですね。
同じ理由でアクションカメラでも、多くが1/2.3インチを搭載しています。
アクションカメラは特に、動画でアクションシーンを撮影するため、ウェアラブルな小さなボディが絶対的な条件であり、大きなセンサーは搭載できないのです。
それでもコンパクトカメラやスマホカメラ、アクションカメラでも画質を優位にアピールするため、最近は1/2.3インチを超えたモデルも登場しています。
コンパクトカメラなら1/1.7インチや1インチ、それ以上だとマイクロフォーサーズやAPS-Cが使われます。
ただ、マイクロフォーサーズ以上のセンサーを搭載したモデルは、ミラーレスカメラと同等のボディサイズになってしまうので、正確にはコンパクトカメラとは呼べないかも知れませんね。
アクションカメラの方はと言えば、スマホも含めて、今のところ1/1.7インチや1インチが一般モデルには精一杯。
これ以上大きなセンサーを搭載すると、アクションカメラとしての機動性を失うボディになってしまうのです。
同様にスマホもあまり大きくなっては、使い勝手が悪くなって不便でしょうからね。
センサーサイズに限りがあるなら画素数を増やせば画質は向上する?
あなたもご存知のように、一般的に、カメラの画素数を増やせば画質は向上します。
デジタル写真は、小さな粒(ドット)を集めてイメージを構成していて、そのドットをたくさん集めるほど高精細になるからです。
しかし限られたセンサーサイズの中で、ドットを多く詰め込めば粒は小さなものとなり、その1つ1つが光を通す量が減ることで、感度の低いセンサーとなってしまいます。
各家庭で使われている網戸ってありますよね?
これは1つ1つの網穴が、大きいものと小さいものとが販売されています。
網穴が小さいものの方が、蚊の侵入を防ぐ効果は大きいですが、太陽光を通す度合いが低くなってしまいます。
そのため大きな網穴のものより、室内が暗く感じられる欠点が生じてしまうんですね。
イメージセンサーと画素数の関係もこれと同じ。
画素数を増やせば高精細になるものの、イメージは暗くなります。
それを補うため感度を上げると、ノイズが増えてしまう弊害が起きてしまうのです。
同時に、ダイナミックレンジの狭いイメージにもなってしまい、ハイキーが白く飛んでしまったりローキーが黒くつぶれてしまいます。
全体的に、メリハリのないイメージができ上ってしまうでしょう。
これでは高画質とは言えなくなるので、やたら画素数を増やしても、画質は向上するとは限らないのです。
物理的に言うなら画素数を挙げても良い限界は、フルサイズなら3600万画素、APS-Cなら2400万画素。
それより小さいセンサーは、1000万画素から1600万画素程度が、最も美味しいところのようです。
以上のことから、センサーサイズにおいても画素数においても、どちらも同じように画質に影響を及ぼすことがお分かりになったでしょうか。
アクションカメラで高画質を求めるにも、センサーサイズと画素数のバランスが大事なのです。
センサーサイズに限りがあるカメラは高画質を求めるのはムリ?
さすがにコンパクトカメラでは、APS-Cやフルサイズのセンサーを搭載するカメラに匹敵するような、きれいな画質を望むことはできません。
では、1/2.3インチのような小さなセンサーを搭載するカメラは、高画質を目指すことは不可能なのでしょうか?
いいえ、必ずしもそんなことはありません。
技術は日進月歩です。
現在はこのような小さなイメージセンサーでも、10年前と比べればかなりの高画質になっています。
高画質をサポートするものとして、カメラに搭載されるレンズと、イメージを形成するエンジンがあるんです。
出典 SONY
前々頁で述べた、小さなセンサーでもまともな写真が撮れるサポーターと言うのは、このレンズとエンジンのことなんですね。
光を最初にキャッチするレンズを、新しい構成のものへと改良したり、F値の小さい明るいものへとレベルアップする。
そして高性能なエンジンに積み替えることで、同じセンサーでも差が出せるんです。
これからも、小型化から絶対離れられないアクションカメラは、スマホと一緒で、今後も1/2.3インチを搭載し続けるのは間違いないでしょう。
同じ理由でフルサイズセンサー搭載カメラでも、エンジンを改良することで、更なる高画質を求めることが可能だと思います。
実際にフルサイズミラーレス機で、6100万画素と言う信じられない高画素のモデルがあり、カメラファンの中で話題になっています。
いくらフルサイズとは言え、この高画素ではのっぺらな画像になってしまいそうですが、超高性能エンジンの搭載でメリハリの利いた画質を得ているんですね。
なので高画質を得るためには、カメラのセンサーサイズと画素数とのバランスだけなく、イメージを作るエンジンとの兼ね合いも重要なのです。
もちろん現実的には、使用するレンズの性能も高画質に関わるのは、今更言うまでもありません。
実は動画に特化するならそれほど高スペックにこだわる必要はない!
アクションカメラ・デジタルカメラの画質は、センサーサイズと画素数との兼ね合いに影響することを、あれこれ述べて来ました。
単純に言えば、センサーのサイズが大きいほど、画質の向上に貢献するのは事実です。
その代わり、大きくなればカメラのボディも大きく重くなって、取り回しも悪くなるばかりか価格も高くなります。
また画素数も多いほど、高精細なイメージを得ることができます。
しかし、小さなセンサーに画素数を詰め込み過ぎると、各ドットの光量が少なくなって暗いイメージができるため、感度を上げて明るくするとノイジーになってしまいます。
画質を良くするための秘訣は、イメージセンサーのサイズと画素数とのバランスです。
特に小さなセンサーには、特F値の小さい優れたレンズと、高性能なエンジンとの組み合わせが、高画質を得る要素として欠かせません。
ところで、アクションカメラ・デジタルカメラで高画質にこだわると言っても、動画撮影のみに限るなら、写真撮影ほど高スペックが不要なことをご存知ですか?
実はアクションカメラよりも、以前から販売されているビデオカメラですが、これらも多くがずっと1/2.3インチほどのセンサーを使っているのです。
画素数も、200万画素~300万画素くらいしかありません。
これで高精細なフルHDの画質が得られ、テレビ画面に大きく映すことができます。
最新では、4Kで撮影可能なモデルもありますが、これでも同じ1/2.3インチセンサーを使い、800万画素程度で撮影が可能なんです。
なので同じように、アクションカメラのセンサーが小さくても、十分に高画質な動画が作れる訳です。
YouTubeにアップしたって、何ら画質に不足はありません。
それどころか、フルサイズカメラで撮った超高画質作品をそのままアップしても、YouTube側で圧縮して画質を落としてしまうので、意味がないのです。
ミラーレスカメラや一眼レフカメラで動画を撮ると、確かに高画質であることが見て分かります。
ピントは鋭いし、何と言ってもボケがキレイです。
ただこれらの高画質カメラは、本来写真を撮るのが目的なので、長時間の撮影に対応していません。
最高で連続29分までです。
またレンズを含めたボディが大きいので、動画撮影では機動性が劣ります。
ミラーレスや一眼レフで動画を撮るなら、室内で三脚に載せた定点スタイルが一般的でしょう。
そんな訳で野外で動画を撮るなら、アクションカメラやハンディカムのような、小型ビデオカメラが使いやすくて便利ってことです。
やれ大型センサーが必要だ、画素数が高くなくてはダメだと言うのは、ビッグサイズでプリントしなければならない写真に限っての話。
以前に「アクションカメラは画質の良い動画が撮れますか?」と、質問を受けたことがあります。
「評判の良い有名メーカーのモデルを選べば、ちゃんと納得できる画質動画を作れますよ」と、返事をさせていただいたのは言うまでもありません。
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