すでにアクションカメラを使っている方は知っているでしょうが、このカメラで撮った暗い場所での映像って画質が悪いと思いませんか?
ピントが合っていない訳じゃないのにボヤっとして、カメラをパンしたら、輪郭線が妙にブレたような感じに写る・・・。
この原因は、決して撮影のしかたが悪いことにあるのではなく、またカメラの調子が悪かったのでもありません。
昼間は細部までシャープな写りをするのに、夜間は暗いだけでなくどうにもボヤっとしてしまうのは、ある意味しかたのないことなんです。
写りが不明瞭になってしまうのは、実は搭載するセンサーサイズに起因します。
ミラーレスや一眼レフで撮った映像だと、暗いながらもディティールがハッキリしていますよね?
これら、本来写真を撮影するレンズ交換式一眼カメラは、センサーサイズが大きいです。
そこで今回は、「アクションカメラはなぜ夜間撮影が苦手」なのか、このしくみに付いて述べて行こうと思います。
一般のアクションカメラのセンサーはフルサイズミラーレスの1/30ほど
上のようなイラストを、あなたもご覧になったことがありませんか?
これは動画・静止画問わず、カメラのセンサーの大きさを比較したものです。
ミラーレスカメラフルサイズセンサー
一番大きなフルサイズセンサーは、かつての35㎜フィルムの受光部と同じ大きさで、36㎜x24㎜あります。
一方、一番小さな1/2.3インチセンサーは、わずか6.2㎜x4.6㎜しかなく、フルサイズに比べ圧倒的に小さいのが分かりますよね。
1/2.3インチセンサー(イメージ)
アクションカメラの多くはこの1/2.3インチを使っており、この小さな面積では受光量に限界があることで、フルサイズなんかに敵うハズはありません。
このことが、暗い場所での撮影に不利なゆえんなんです。
最近では少しでも高画質を狙おうと、1/2.3インチの4倍の面積の1インチを搭載したアクションカメラもあり、これだとその分受光量も多くなります。
受光量が多くなれば、それなりに撮影映像も明るいですね。
ただセンサーが大きい分カメラも大きくなり、使い勝手が悪くなって、アクションシーンも撮りにくくなってしまいます。
そのため多くのアクションカメラは、あえて1/2.3のセンサーを使っているのです。
アクションカメラは、ウェアラブルカメラとしての要素もふんだんに入れた上、製品を開発しなければならず、やたらボディを大きくすることはできません。
そもそも夜間など暗い状況で、アクションシーンを撮る機会などそんなにないだろうと、価格も高いセンサーの搭載をメーカーは避けるのです。
同じサイズのセンサーでも画素数の違いで暗さに強いカメラができる
センサーは大きいほど受光量が多く、明るい映像作りに有利ですが、同じサイズのセンサー同士でも、画素数が少ない方が映像を明るく記録することができます。
フルサイズセンサーを搭載した人気ミラーレス機に、SONYのα7シリーズがあります。
この中でα7RⅣはフルサイズながら、なんと6100万画素と言う超高画素センサーを搭載しています。
4K画質で、30fps(秒間30コマ)の動画撮影が可能です。
そして同じシリーズの中でα7SⅢもフルサイズなのに、こちらは少なめの1210万画素センサーを搭載。
ですが同じ4K画質でも、120fps(秒間120コマ)のハイズピード撮影が可能なんです。
これは画素数を落とすことで、1画素あたりの受光量を多くできる技。
つまり暗い場所ではα7RⅣは、4K30fpsでないと適正露出が得られないのに対し、多くを受光できるα7SⅢは、120fpsのハイスピードでも適正露出が得られるんですね。
ちなみに夜間の暗い場所で、高速撮影したα7SⅢのサンプル映像がこちら。
暗い場所でありながら、ちゃんと適正露出でスローモーション(ハイスピード)が表現されていますね。
このようにセンサーが大きいほど、また画素数を減らし1画素を大きくすることで、映像をクリアに明るくできることがお分かりになったでしょうか?
フルサイズ機が明るいのは分かったけどiPhoneも明るいのはなぜ?
アクションカメラがフルサイズミラーレスカメラと比べ、暗い場所での撮影に弱いのは、搭載するセンサーのサイズに依ることが理解できたと思います。
ところで、アクションカメラと同等サイズのセンサーを搭載するスマホのiPhoneですが、「これ夜でも明るく撮れるよ」って話を聞いたことがありませんか?
私も現在iPhone SE2を使っており、暗いところで動画や写真を撮っても、確かにブレずに明るく撮れることを確認しています。
本機は特に高性能モデルと言う訳ではなく、ナイトモードなど夜間撮影に有利な機能もほぼありません。
スマートHDR機能は搭載しており、明暗差のあるシーンでも、バランス良く露出を整えてくれますが、特にこれは暗い場所に効果的なものではないでしょう。
以前私は、動画編集ソフトFlexClipのサンプル動画を撮ったことがありますが、一部にiPhone SE2を使い夕景を撮影しました。
こちらに、その動画を一部抜粋しましたのでご覧下さい。
これは4Kではなく、フルHD 60fpsで撮ったものですが、車のヘッドライトが点灯する時間にもかかわらず、明るく露出されているのが分かるでしょうか?
撮影時に明るくする設定は一切行っておらず、撮影後の編集でも露出に関して加工はしていません。
ですが、アクションカメラより明るくクリアに写るのは、なぜなんでしょうか?
私の推測では、背面カメラに明るいF1.8のレンズを使っていることと、無理に高画質を求めず、1200万画素止まりのセンサーを採用したためだと思います。
しかし、ただそれだけでは十分ではないでしょうから、iPhone独自のチップを使っていることが、大きな要因につながっているのかも知れません。
だとしたら今後、アクションカメラもこのようなチップを使い、大型センサーを搭載することなしに、夜間でも明るく撮れるモデルが登場することを期待したいですね。
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アクションカメラで苦手な夜間に少しでも明るく撮影する方法
では、現在発売されているアクションカメラを使い、少しでも明るく高画質に撮影する方法はないのでしょうか?
結論を先に言えば、設定により、ある程度改善することは可能です。
この設定はどのカメラでもできると言う訳ではなく、GoProやInsta360・DJIなど、価格的に高価なモデルが主として対象になります。
まずは暗いところでは手持ちをやめ、三脚などにカメラを固定し、レンズを安定させましょう。
こうすることで、アクションシーンを撮ることはできなくなりますが、画面の揺れを抑えることができるので、クリアな映像の記録には効果的です。
Vlogを撮るために、どうしてもウォーキングしながら手持ちするなら、ジンバルにカメラを装着したいですね。
その場合は、本体の電子手ブレ補正機能(GoProで言えばHyperSmooth)を、OFFするのがコツ。
暗い場所での電子手ブレ補正機能の使用は、被写体の輪郭線に滲みが出てしまい、不明瞭な映像になってしまいます。
4Kで撮るなら30fps以下を選ぶと、滑らかさには欠けてしまいますが、明るい映像が期待できますね。
さらに明るさと滑らかさを両立するなら4Kをあきらめて、フルHD 60fps以下を選ぶと、結果的に見やすい映像になるのでおすすめです。
そのほか、ナイトモード機能やノイズリダクション機能があるなら、これらは積極的に使いましょう。
またISOを調節できるモデルなら、ノイズが目立ってしまわない範囲で高めにセットすれば、明るさを稼ぐことができますよ。
ISO1600以上にセットしてもノイズが気にならないなら、使って効果ありと判断して良いです。
常識的にアクションカメラのメーカーは、アクションシーンは昼間に撮るものであり、夜は行わないと思っています。
それが結果として、夜の撮影は、iPhoneに負けてしまっているのかも知れませんね。
今後の見通しとして、もっとユーザーが積極的に声を上げれば、センサーやボディの大きさはそのままに、夜間撮影に強いモデルを登場させるのではないでしょうか。
ぜひこれには期待したいですね。
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iPhone よりもSony, Huawei, Oppoや Xiaomi による動画撮影の方が暗所に強い情報がありますが、その辺りの検証比較データは無いでしょうか?
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Kageyama様 コメントをいただきありがとうございます。
返事が遅れまして申し訳ありません。
ご質問のメーカーの製品に付きまして、1つ1つ検証をしたことがないので、正確なことは言えませんが、一般論として低価格のアクションカメラは、iPhoneより夜間での再現性は劣るとの話を聞いたことがあります。
たださすがにGoProだと、HERO10以上の新しい製品になれば、iPhoneと同等の暗部再現性を持ち合わせているようです。
アクションカメラでiPhoneをしのぐ夜間での再現性能を持とうとするならば、やはり何と言っても大型センサーの搭載が必要でしょうね。
よろしくお願いいたします。