アクションカメラは長らく、デジタルカメラのようなオーソドックスなデザインが一般的でした。
このデザインのまま極力小さく軽くして、よりウェアラブルに使えるよう改良してきたのですが、やはり限界があるものです。
そこで撮影の際に、なくても必ずしも困らない機能を省いて、小型化を進めたモデルが登場しました。
しかしそれだと、多用途に使えない不便さを感じる場合も生じるでしょう。
そんな不便を解決すべく1つの方法として、撮影に応じてユニットを交換することで、小型ボディを保ち多様な撮影に応えたモデルが出て来ました。
Insta360 ONE Rなどはその一例です。
それからもうひとつ、撮影シチュエーションによってボディを分離し、必要なユニットのみで撮影にのぞめるモデルも現れました。
それが「DJI Action 2」です。
本体ユニットをマグネット式で付け替えて、クリエイティブなアクション動画を撮影することが可能。
今回は、DJI Action 2をユーザーレビューを参考にしながら、機能や性能をを検証・評価してみたいと思います。
DJI Action 2の特徴とは?
まずはメーカー提供の解説動画で、Action 2の商品概要をご覧下さい。
おおよその本機の特徴を掴むことができると思います。
本機は動画にあるように、本体が2つに分かれるモジュール構造をしています。
上部のカメラユニットを中心に、下部にバッテリーと前方ディスプレーが一緒になったスタイルを “デュアルスクリーンコンボ”。
前方ディスプレーがなく、バッテリーだけになっているスタイルを “パワーコンボ” と呼び、それぞれ別バージョンとしてラインナップしています。
面白いのは、カメラユニットにもバッテリーを内蔵していることで、このカメラ単体だけで撮影することもできるのです。
ただしカメラユニットだけだと、撮影時間は公称70分に限られるし、撮影容量は22.4GBの内蔵メモリーのみに限られてしまいます。(バッテリーユニットを付ければ160分可能)
その代わり耐衝撃・防塵性、そして水深10mまでの防水性を持つようになります。
まさに、本格的なアクションカメラとして使えるようになるんですね。
コンボ下部のバッテリーユニットには防水機能はないので、防水性を持たせるためには、オプションの防水ケースが必要になります。
触っていて凄いと感じるのは、カメラユニットとバッテリーユニットは強力なマグネットで接着すること。
しかも、誤って前後逆にくっ付くことがありません。
N極とS極の関係で、反対にくっ付けようとしても反発してしまうんです。
接着する際はズレずにピッタリ定位置に付くし、ボディ左右にバックルがあって、万が一の場合にも離れてしまわないようになっています。
ボディは軽量アルミニウム合金製で、非常に高級感のある仕上げです。
これは作りの良さを演出するだけでなく、撮影時に発生する熱を効果的に逃がす役目もあるのでしょう。
小さなボディだとホールディングが悪いので、便利なアタッチメントも幾つか付属しているし、リモコン付き延長ロッドやワンタッチ装着のマクロレンズ等もオプションで用意しています。
DJI Action 2とOsmo Actionとの違い
Action 2と旧Osmo Actionとの違いですが、まずは何と言ってもそのデザインと大きさですね。
DJI Action 2はコンボにすると縦型になるし、コンボを分離すれば、Osmo Actionと大きさの差は歴然。
中身の方を見てみましょう。
センサーはOsmo Actionが1/2.3インチなのに対し、Action 2は1/1.7インチとひと回り大きくなりました。
これだけでも、画質が向上したことが伺えます。
レンズは明るさこそf2.8と変わりませんが、画角はOsmo Actionが145度だったのに、Action 2は155度と広角になってより広い範囲を写せます。
撮影動画に関してはどちらも4K画質でできますが、その場合Osmo Actionは最高スピード60fpsのところ、Action 2は120fpsまで可能です。
4Kで4倍のスローモーション撮影ができますよ。
またOsmo Actionは、従来のアクションカメラのデザインを踏襲していて、一見GoProカメラのようですが、Action 2は一目でDJIカメラと分かるのが良いですね。
このように述べると、何もかもがAction 2の方が魅力的に感じますが、Osmo Actionの方が良いと思える部分もあります。
それは熱問題です。
Osmo Actionは比較的容積に余裕があるので、撮影時にそれほど熱を発生しませんが、Action 2は究極の小型ボディなので、熱を発生しやすいのです。
余り発熱量が多いとメモリーが一杯になる前に、撮影を停止してしまいますからね。
その点ではOsmo Actionの方が安心。
それからOsmo Actionの方が、価格的にずっと安いです。
旧モデルになったとは言え、現在も販売は継続していますからね。
新しい分、確かにAction 2の方が魅力的に見えますが、まだまだOsmo Actionも捨てたものではありませんよ。
ではここで、Action 2を使えばどんな撮影ができるのか、再びメーカー提供の動画でご覧いただきましょう。
続いて本機のウリの1つである手振れ補正機能Rock Steadyと、水平を保つHorizon Steadyの効果のほどを、もう1つの動画でご覧になり確かめてみて下さい。
協力 マイナビニュース・デジタルさん
次に、実際に本機を使っているユーザーの皆さんは、どんな感想を持っているのでしょうか?
幾つかレビューを集めましたので、次項をご覧下さい。
DJI Action 2のユーザーレビュー
★「画質的にはOsmo Actionより良くなっている気はする。しかし本体の発熱による録画停止が起こるため、長時間撮影には向かない。当方は演奏会でのスポットカメラとしての利用を考えていたため、買っては見たものの、使えないことが判明したので残念だ。」
★「4Kでの撮影にも対応し、小型で面白い機構を求めていたものが詰まっていたので、期待大で購入した。画質はよく手振れも軽減されるので、そこの部分に付いてはさすがDJI製品だと感じた。しかしながら4K/4:3モードで撮影を始めると、発熱により10分もしないうちにオーバーヒート。撮影再開できるまで、30分以上冷やさないといけないくらいに発熱する。設定温度を高にしてもあまり変化はなかったので、解決策はないものかと思った。」
★「本体のサイズ感、感度、画質、タッチ液晶の感度などは最高だ。しかし圧倒的な発熱と特殊な仕様で、全てを台無しにしている。熱問題-4K/60fで4分で録画停止。4K/30fで8分で停止。録画停止温度設定で高にすると、本体の温度は65℃だった。コレを頭とか胸とかに着けると火傷すると思う。素手で5秒触れないくらい熱くなる。また熱による誤作動が多く、勝手に録画、再起動、勝手にファームウェア更新、SD認識しなくなるなど。1080p/60fでも45分でSDカードを認識しなくなり停止。実質にはまともに使えない4Kや火傷するほどの発熱など、消費者センターに相談するレベルの商品だ。」
★「良い点-とにかく軽量と小型がすごい。毎日持ち歩きたくなるほど生活に馴染む存在。音声がとてもきれい。暗所ではノイズが増えるが、このサイズのカメラとしては、ずいぶんきれいに撮れるほうだ。スローモーション・デジタルズーム・超広角などの機能が揃えている。DJIMIMOというアプリのAI編集機能を使えば、センスのない私でも動画編集ができる。気になった点-バッテリー交換ができないこと。だが電源モジュールは別途付けられるので、一応耐えられる。その代わり、ほかのアクションカメラよりダントツ軽くて小さい。ネットで一部のレビューにあった熱暴走のことは、個人的に気にならないレベルだ。」
DJI Action 2の評価
ここからは以上の情報を踏まえた上で、私がAction 2の評価をしてみましょう。
カメラユニットとバッテリーユニットを分けたことで、これまでのアクションカメラと比べ、よりウェアラブルな撮影ができる仕様としたのは画期的だと思います。
特に付属の磁気ストラップを使い、胸に貼り付けてハンズフリーな撮影ができるのは、Insta360 GO2みたいで面白いですね。
カメラ本体が左右に揺れても、Rock Steady2.0とHorizon Steadyの効果で、安定した映像が撮れるのはとても魅力的。
これからも、アクションカメラはウェアラブル化が進むのを、本機は予感させてくれています。
ただ数々の機能を超小型ボディに、ぎっしり詰め込んだせいなのか、撮影時の発熱量が多いことに問題がありそうですね。
他のモデルでもアクションカメラなら、長時間の使用で熱を持つのは周知のことですが、本機の場合は並大抵のことではないようです。
なので少しでも早くアップデートで、熱を抑えるか耐えるかの対策が必要です。
今のところ(2021年11月)ユーザーができる対策としては、画質を1080p/60fpsまで落とすか、4K/30fpsくらいにセットして撮影を10分程度に抑えるのが良いでしょう。
どうしても長時間に及ぶ撮影が多いのなら、本機の購入を諦めて、同程度の価格で買えるGoPro HERO10あたりを選ぶ方が賢明です。
いずれにしても本機の購入を急ぐのなら、短めのカットを多用して、編集で上手くつなぐ技量が求められると思います。
製品としてAction 2は画期的なモデルであるだけに、とても魅力的なのですが、今のところ使いこなしに工夫が必要なカメラであるのは間違いないでしょう。
または
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