今やアマチュア動画撮影用カメラとして、代表的な地位にあるアクションカメラ(ウェアラブルカメラ)。
動画撮影と言えば、少し前までビデオカメラを使うのが当たり前だったのに、現在見かけるのはハイアマチュア向けか業務用モデルばかりです。
使い勝手の良さで、アクションカメラはとても人気。
でもこのタイプのカメラは、ビデオカメラでは当たり前の、光学ズームやAF(オートフォーカス)は搭載されていません。
このことを、あなたはご存知でしたでしょうか?
え、ウソでしょ?と思った方がいるかも知れませんが、一部の機種を除いて、どちらの機能も搭載されてはいないのです。
理由は元をたどって行くと、その使い道の違いにあります。
そこで、なぜアクションカメラには光学ズームやAFがないのか、今回述べてみることにしたいと思います。
ビデオカメラは撮影する対象となるのが自分以外のものだ
アクションカメラとビデオカメラ、これらは撮影するにあたり、どちらも動画を撮るカメラに違いありません。
ではどこが違うのかと言えば、ビデオカメラの場合、撮影対象は主に自分以外の被写体です。
それは人であったり、動物であったり、風景であったりします。
また、その狙った被写体は近くにあるものかも知れないし、遠くにある場合もあることでしょう。
近いものと遠いものではレンズからの距離が違うので、レンズを回してピント合わせしないといけません。
昔なら、それを手でピントリングを回して行ったものですが、現在はAFになってカメラが自動的に合わせてくれます。
そして遠くにある被写体は小さくしか写らないので、大きく写そうとするならカメラマンがそこへ近付くか、望遠レンズを使うかしかありません。
ただそれでは撮影効率が悪いので、レンズを数枚用いたズーム機構を搭載して、被写体を近くへ引き寄せるようにしています。
でも望遠レンズも含め、ズームレンズは広角レンズと比べて、本体が大きくなってしまいますよね?
なのでしっかりグリップを握ったり、三脚に固定するなどして、ブレを防がないといけません。
さいわいに最新モデルでは、どれも手ブレ補正機能があるので、かなり手振れは少なくはなっていますけどね。
ビデオカメラ撮影シーンでは、被写体をグッと引き寄せることは良くあることです。
デジタルズームでは画質の粗さがどうしても目立つので、光学ズームの搭載は必須なんです。
また引き寄せることで、ピント合わせもシビアに行なう必要があります。
なので、ビデオカメラには光学ズームとAFはとても重要な機能と言えますね。
アクションカメラは撮影する対象となるのは主に自分だ
一方、アクションカメラは基本的に、被写体をカメラマン自身とする場合に活躍するカメラです。
自撮り棒を使いレンズを自分に向けて、その姿をカメラに収めたり、カメラを腕に巻いたり頭に載せたりして自分目線の風景を撮るのに便利。
バイクに設置して、走行風景を撮影するのにも適しているでしょう。
そもそも、なぜそんなことが可能なのかと言えば、もうお分かりでしょうが、本体が圧倒的に小さくて軽量だからですね。
GoPro HERO10のように、デジカメをギュッと圧縮したような形がアクションカメラの基本ですが、もっと小さいInsta360 GO2のような親指カメラまであるのが特徴。
だからバイクに設置したり、身体に装着することが容易と言う訳です。
でも、この小さなボディを得たその代償として、犠牲になった機能があります。
それが、光学ズーム機能とAF機能なんです。
光学ズームレンズは前項で触れたように、銅鏡内のレンズの一部を移動させねばならないので、どうしてもレンズ機構が大きくなります。
同様な構造でピントを合わせるAF機構も、どうしても大きくなってしまうんですね。
なので、必然的に極限までボディを小さくするためには、これらは搭載ができません。
電気的にズームを行うデジタルズームと、ピント合わせが不要なフォーカスフリー構造で補っているのです。
デジタルズームはどうしても光学ズームより画質が劣るし、フォーカスフリー(固定焦点)はシビアなピント合わせはできません。
しかしアクションカメラで撮影する対象は、自分の目線で見る周りの風景だったり、自撮り棒を使っての自分だったりする訳です。
アクションカメラはその名の通り、アクティブな様子を撮るのを目的として開発されました。
そのために必要なレンズは、ほぼ広角レンズだけで済んでしまいます。
なので敢えてズームレンズは必要はないし、広角は被写体深度が深いので、フォーカスフリーでも事足りるんですね。
以上のような理由で、アクションカメラは光学ズームやAFがなくても、ちゃんと動画カメラとして問題なく使えるのです。
動画製作にはアクションカメラとビデオカメラとを使い分けるのが理想
今回はビデオカメラと違い、アクションカメラには、光学ズームやAFが搭載されていない理由をお話しました。
アクションカメラは、ビデオカメラでは難しいアクティブシーンを撮影することを目的に、ウェアラブルな装着を優先した結果のボディ構造をしています。
ですから被写体を引き寄せて、大きくクローズアップすることはできません。
映画のように、1つの作品として完成させたい場合は、両方の特性を生かしてカメラを使い分けるのがベストだと思います。
バラエティーなどテレビ番組を見ていると、アクションカメラとビデオカメラを上手く使って編集されているので、注意してご覧になると面白いんじゃないでしょうか。
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